Excelの歴史
Excel 2007から Microsoft365まで
後編では、世界標準の表計算ソフトとなったExcelが、バージョンアップする中でどのように機能向上をしてきたかを追っていきます。
7.「Excel 2007」で仕様拡張とリボン導入
「Excel 2007」からは、XML準拠でのファイル入出力が標準化されるなど、大幅な仕様変更がなされました。マクロが埋め込まれたファイルは、「Excel 2003」まではマクロなしファイルと同様に”.xls”の拡張子を用いていましたが、Excel2007からは”.xlsm”を使用するようになりました。
また、シートサイズの制限が大幅に強化され、扱える行数は1,048,576(2の20乗)行、列数は16,384(2の14乗)列までになりました。
Excel 2003までは、1シート当たり 65,536行(2の16乗)、256列(2の8乗)でしたので、扱えるセルの数は1024(2の10乗)倍(意味のない数字ですが・・・)になりました。
ユーザーに最も影響を与えた変更は、なんと言っても〔メニューバー〕と〔ツールバー〕に代わって、〔タブ〕と〔リボン〕の方式に変更されたことです。経験豊富なExcelユーザーにとっては、リボン方式は使い方や機能・オプションの場所を新たに学ばなければならないので、少し抵抗を感じた方も多かったのではないでしょうか。
では、何故リボン方式が導入されたのか。これまでExcelの機能は次々と増え続けてきました。その過程で、「増えてきたメニューから使いたい機能をいかに探しやすくするか」という問題解決がリボンの導入理由のようです。各作業に関連する機能が再整理されて、これまでのメニュー項目がグループ分けされ、タブという形にまとめられました。結果的に、これからExcelを覚える方には、「慣れるととても使いやすい」との評価する方も多く、今では他の多くのアプリケーションでもリボンが導入されるようになりました。
8.進化続けるExcel
Excel2010、2013、2016、2019と、Excelのバージョンアップは続きます。この間の主な追加機能などを列挙します。
- 64ビット版が登場
(ただし、アドイン対応や安定稼働の関係で推奨は32bit版) - スパークライン(セル内チャート)
- ピボットテーブルの改善
- リボンのカスタマイズ機能
- 条件付き書式の機能拡張
- いくつかの統計関数、日付関数など追加
- フラッシュフィル機能
- データ分析ツール(PowerPivot/Power Query/Power View)のアドイン
- 50個以上の数学関数が追加
- PowerQueryの統合
- 予測シート機能
- デフォルトフォントが「MS Pゴシック」から「游ゴシック」に変更
- グラフが6つ追加
(ツリーマップ、サンバースト、ヒストグラム、パレート図、箱ひげ図、ウォーターフォール)
- OSは、Windows10 専用となる
- 64bit版Excelが標準でインストールされる
ただし、32bit版も利用可 - 6つの新関数の追加
(CONCAT、IFS、MAXIFS、MINIFS、SWITCH、TEXTJOIN) - グラフの追加(マップグラフ、じょうごグラフ)
- グラフィック機能の拡張(SVG、3Dモデル)
- 新しいインク機能
- Microsoft Translatorによるテキスト翻訳
9.最後に、Microsoft 365(Office 365)について
名称が2020年4月に「Office 365」から「Microsoft 365」に変わりました。
このバージョンのExcel(Office製品)は、従来のパッケージ版の買取り型ではなく、「サブスクリプション」(サブスク)という、ライセンスの期間契約のことで、1年契約又は月ごとの契約で、変更・解除もいつでもできます。ネットを通じて常に最新版のExcelを使えることは言うまでもありません。
このサブスク型のExcelは、インストールする機器の制限台数(3台→5台)等にメリットの違いがあるばかりではなく、実装しているExcelの機能の違いもあります。
具体的には、スピル(spill)という機能が新たに追加されています。スピルは動的配列数式ともいわれ、従来のExcelとは全く違う革新的な機能と言われています。また、スピルの導入により追加された関数(FILTER、SORT、SORTBY、UNIQUE、RANDARRAY、SEQUENCE、XLOOKUP、XMATCH)もあります。
Microsoftは、営業収益増加を目的にこのサブスク型のライセンス販売に力を入れており、パッケージ販売(プレインストールも含む)との差別化を図るために、サブスク型の有利性の違いを一層明確にしていくものと予想しています。